「グッドバイ ライラック」 ゆき林檎

ライラックの花言葉は「初恋」なのだそう。

 

かつて想いを寄せられていた教え子の加藤と、同僚として再会した高校教師の笠井。「もう生徒じゃないから」と正面からアタックしてくる加藤に面喰いながらも、ひとり泣いていた高校時代の面影を見つけるたび、笠井は彼のことを突き放せなくなってしまう。

 

見た目を裏切る恋愛脳な加藤くんと、あくまで「教師」としてのスタンスで加藤に接し続ける笠井のかみ合わない温度差がおもしろい。

笠井先生だって加藤くんのことを「かわいい」って思ってるけど、それはやっぱり恋愛じゃなくて、親心に近い。たとえ教壇に立っていなくても、彼の中には教師としての倫理観があり、男同士である以上に「教え子に手を出す」こと自体に抵抗がある。

 

すべてに清く正しくあるなんてことは、欲も情もある人間なら困難だ。

それでもいろんなものを呑みこんで、最後まで加藤と向き合おうとした笠井はいい先生だなぁと思った。

いい先生すぎて、加藤くんの捨て身のアタックに押し負けた気もしなくはないけど(笑)、加藤くんがめっぽう幸せそうなのでいっか、と。

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    「雪解けの恋」 itz

    高校生の高田は、花見に訪れた公園でひとり涙を流す若い男を見かける。

    大人の男が泣く姿は、花びらと雪がいっしょに舞う幻想的な光景とともに胸に刻まれた。

    新学期、高田はその男が現国教師の染谷だったことを知る。クールで女子生徒からの人気も高い染谷が、どうしてあんな場所で泣いていたのか。高田は興味本位で染谷に声をかけるのだが、話せば意外にも気さくな染谷に親しみを抱くようになる。

     

    相手の「ふつうの幸せ」を守るために失った恋に囚われつづける染谷の心を、高田のまっすぐな想いが溶かしていくピュアなラブストーリー。

    高田の前ではいつも大人としての態度を崩さない染谷先生が、最後に見せた恋する表情がとてもいとおしかった。

    歳は離れていても、経験値的には似たり寄ったりなふたりなので、ここからいろんなはじめてを分け合っていくんだろな〜と思うと、すごくにやけます…。先生はいろいろ無精そうだけど、高田くんはきっと付き合うとマメなタイプだろうから、あまやかして自分がいなきゃだめにしてしまえばいい!

     

    表題作も同時収録の短編も「失った恋を取り戻す」というテーマが共通していて、十年愛や永遠の片想いに目がない私には萌えツボ直撃の一冊だった。

    読み切りはあえて苦みを残すラストシーンの余韻がよかった。

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      「P.B.B.」 6 鹿乃しうこ

      00年代はじめごろ、世間のホストブームにのっかって、BL界隈でもホストが大流行していた。

       

      いまではすっかりアイドルにとって代わられて、ホストはほとんど見かけなったが、「P.B.B.」はそんなホストバブル期にはじまり、出版社の倒産などにも負けず、これまで連載をつづけてきたホストBLの金字塔。

      長年ファンに愛されてきた純佑&忍のハイパーラブも、ついにグランドフィナーレ。

      ああ、時代は移り変わっていくのだな…と妙にしみじみしてしまった。

       

      90年代から根強い人気を誇っていた「スーパー攻め様」も、バブル崩壊とともにだんだんと説得力を失ってネタ半分に親しまれるようになり、カップリングはますます多様化していっている。

      クズ攻めもいればビッチ受けもある。必ずしも、上等な男=萌えの方程式は成り立たなくなった。

       

      それでも、最終巻を読んであらためて、自分の萌えの原点に立ち返った。

      やっぱり、かっこいい男がかっこいい男に惚れ込む話ってすばらしい!

       

      純佑は野球で挫折したところを、ホストだった忍に救われてナンバーワンまで上り詰めた正統派の男前。クールで笑顔を安売りしないから冷たいと思われがちだけど、根っこの部分には熱いものを秘めている。

      かっこよくて、仕事ができて、女にモテる。すべてを持っているような男なのに、忍のためならすべてを捨てることもいとわない。まったく隙のないスーパー攻め様である。

      いっぽうの忍ちんは、とにかく懐が深くて面倒見のいい二枚目半。

      いつだって笑顔で、みんなが楽しいことを優先させる。でも、その笑顔で本音や弱音を隠して、純佑にもすべてさらけ出そうとはしない強情な一面もある。

       

      忍ちんが純佑にもけして引けを取らない「いい男」なんだよな〜〜〜。

      忍には忍なりの流儀があって、信念がある。

      受けは忍でも、忍ちんが純佑を「抱いてやっている」と思えるような包容力があるのよね。まだどこかに青さを残した純佑よりも大人な分、余裕もあればずるさもあって。

      どんなに暴かれても、すべて明け渡すわけじゃないところが最高に萌えます!

       

      純佑が追いかけて、忍が受け止めてって関係がずっとつづいていくのかなと思っていたけれど、ちゃんと最後にふたりの「節目」がやってきました。

      ホストは一生続けられない仕事。若さを使い果たして無茶がきかなくなる前に、なにかあらたな道を見つけなきゃいけない。

      そのあたらしい道のりを見つけるまで、ふたりを見守ることができて幸せだった。

       

      忍ちんの涙の告白、すごくぐっときた。

      純佑と忍は、幸せオーラで周りみんなもメロメロになってしまうというハイパーカップル。

      ふたりがいちゃラブしていれば、みんなも幸せ間違いなしだ。末永くお幸せに。

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        「心を殺す方法」1-2 カシオ

        いやあ、もうこのタイトルだけでぞくぞくきてしまいますね!

        SMは断然、肉体的なのより精神的なのが好みです。

         

        両親の再婚で、10歳年下のうつくしい少年・光と義兄弟になった春樹。無邪気になつかれて、光のよい兄であろうとする春樹だったが、光は天使のような姿の内側におそろしく歪な愛情を秘めていた。

         

        求めて求めて、奪いつくすことでしか愛を実感できない光。

        脅されて踏みにじられ、光を憎みながらも、その涙を見ると光を拒絶できなくなってしまう優柔不断な春樹。

         

        光が奪い、春樹が奪われた立場でありながら、この義兄弟のあいだには「共犯者」めいた匂いが立ちこめている。

        家族や友人のまえではいたって優等生的な光が、自分にだけみせる異常な執着。怯え、怒り、疲れ切った末に、春樹は心を麻痺させることでその異常な状態から逃れるようになる。

        テンプレBLでは、強引に抱かれるうちに愛が芽生え…ってのがお約束ですが、ふつう強姦された相手を好きになれるはずがないよね。

        どれだけ抱かれたところで光への愛なんて生まれるはずもなく、それでも秘密を重ねるほどに、春樹は光とふたりきりの世界へと閉じ込められていく。

         

        光の策略にはまり、唯一の救いだった事務所先輩・英との関係まで断たれた春樹は、この先いったいどうなってしまうのか。

        こわいけど、こわいからこそ楽しみでなりません!

         

        それにしても、現実問題ならばどう考えても春樹は光属性の英先輩と付き合うべき!と思うところが、二次元だとつい光の尋常じゃない愛の重さにほだされてしまうな〜!孤独な美少年って卑怯。

        ここまでこじれてしまえば幸せな恋人同士になんて…と真顔になりつつも、この歪な執着が愛へとたどりつくことがあるのか、最後まで見届けたい。

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          「あさはらたそかれ」はやりやまい

          夜はたらいて朝眠る夜行性ブロガーの澄山は、眠りにつく前の朝の散歩が趣味。

          坊主頭の高校球児・堂山は、早朝からランニングで高校に通うのが日課。

           

          いち日の終わりとはじまりが交わる場所で出会った、文字どおり住む世界の異なるふたり。

          ふとしたきっかけから、澄山と堂山は歳の離れた友だちのような関係になる。

           

          高校球児って、いくつになっても「憧れの存在」です。

          あの坊主頭は、青春のすべてをスポーツに捧げていることの象徴のように思えて、年下だろうと尊敬のまなざしで仰ぎ見てしまう。

          生粋のインドアラーである澄山もまた、自分とは正反対な堂山の健全さがまぶしくてしかたない。

          同い年ならおそらく言葉を交わすこともなかったはずなのに、大人になったいまなら対等に話すことができる。憧れの存在と友だちになって、浮足立ってしまう澄山の気持ちがなんとなくわかります。

          いい歳した大人が高校生相手に「友だち」なんておかしいと思いながら、澄山は堂山と過ごす時間を、かけがえのないものと感じるようになる。

           

          ひと夏でぐんぐん大人になっていく堂山のかっこいいこと。

          実直でブレなくて素直で、野球もうまくて。学生時代って、スポーツができるってだけで、ふだんの10倍かっこよく見えるよなぁ。なんなんだろうな、あの魔法は。

          こんな誰もが応援するヒーローに正面切って告られたんじゃ、澄山さんが参ってしまうのも仕方ない。

          堂山の言葉より態度で示すところ、いまどきめずらしい武士みたいな高校生だよなぁ。

           

          ばっちりアンダー焼けした身体もすごくセクシーでよかった!

          何回もいうようで恐縮ですが、がっつくDT攻めってほんと最高です!

          持ち前の不言実行で、これからも澄山さんをめろめろにさせてほしい。

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            「デキる男」猫田リコ

            これはよい年下攻め。

            ヘタレわんこもいいですが、デキる後輩ってのもまた大好物です!

             

            モテたいのにフラれてばかりのダメ男・須和は、恋人だったはずの女の子に騙されて300万の借金を背負ってしまう。そんな須和に手を差し伸べてくれたのは、イケメンで仕事もデキる後輩社員の手越だった。

            やっかんでいた後輩に300万もの大金をあっさり差し出され、「自分で払う!」と意地になる須和だったが、300万と引き換えに身体支払えと、思わぬ交換条件を呑まされてしまう。

             

            ここまで読めばすでにおわかりでしょうが、イケメン後輩の手越は須和先輩にぞっこん。

            バカなうえに人が好すぎて、すぐ手玉に取られてしまう須和のことが心配でたまらないくせに、素直になれない手越に萌える…!エロいことはいくらでもできるのに、気持ちを口にするのはこわいなんて!

            一方、女の子に夢中の須和は、まさか手越が自分のことを好きだなんて思ってもみない。

            妙な交換条件を提示してしまったがために、食い違っていくふたりの恋模様をうきうき追いかけました。

             

            手越の意地っ張りも、先輩の鈍感さもじつにいい勝負。

            すっかりお互いにめろめろになっても、「好き」のひと言がいえない意気地のなさがいとおしい。

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              「好きじゃないって百回唱えた」 河馬乃さかだち

              出来心で帯をとってみたら、カゲキな表紙でびっくり。

              金髪ホストが眼鏡に前髪ふん掴まれてる…!圧倒的DVの予感!

              インテリ眼鏡の調教系BLはどっちかというと苦手な部類なのだけど、言葉のせつなさに惹かれてタイトル買い。

               

              同じ「オメガバースプロジェクト」からリリースされていた「おやすみなさいの後は」では、子持ちΩとαの保育士のハートフル家族BLを描いていた河馬乃さん。次なるのオメガバースは、α×α、α×Ω、そしてΩ×Ωと関係性のヤジルシが入り乱れる倒錯もの。

               

              なんといっても、αの主人公・結真が正真正銘のクズ野郎。

              Ωの恋人・友喜をいいように使いながら、自分はホストとして稼いだ金でやりたい放題。どうしようもない男なのに、妙に素直でバカっぽい性格のせいか憎みきれないところがまた、たちが悪い。

              ある晩、偶然訪れたバーで憧れの小説家・堤と出会った結馬は、さっそく堤を口説きにかかる。ところが、同じαだった堤にサディスティックに快楽を教え込まれてしまう。

               

              堤先生がこれまた容赦ないドS。

              しょっぱなから手枷につないで凌辱、人前でバイブを入れて放置、監禁してペットプレイなどなど、ガチで心を折りにきているとしか思えないことを、いたって淡々とこなしていく。

              結真は最初から喘ぎまくり、イキまくりなので、エロとしては見ごたえ抜群だったものの、はたしてふたりのあいだに愛は生まれるのだろうか…と読んでいるこちらが不安になった。

               

              結馬と堤の慈しみとは無縁の性愛と、結馬と友喜の互いに一方通行の主従関係、そして友喜と幼なじみのΩである星の愛ゆえにふれあえない初恋と、三者三様の愛と性が混ざり合ったいろんな意味で濃い一冊。

              途中、もしや4P突入か…!?と期待心配しましたが、さすがの堤先生もそこまで人非人ではなかったようで。笑

              Ω×Ωの百合プレイがたいへんかわいかったので、じゅうぶん満足です。

              いつもかわいい友喜が、星くんにだけオスっぽくなっちゃうところに萌え〜!

               

              最終的には、オメガバースとしてはイレギュラーなCPに落ち着いたものの、結馬も友喜も「αは支配者たるべき」、「Ωはαと番うべき」といったオメガバースという「世間」のなかで押しつけられてきた「役割分担」から逃れ、自分なりの幸せを掴んだってことか…。

              そう考えれば、これってBLの「男とか女とか関係ない!お前だから好きになったんだ!」という「愛こそすべて」の原理原則とまったく同じ結論だな、と深く納得しました。 

               

              ただ、冒頭の「オメガバースとは?」の説明書きをきちんと読んでいなかったせいで、「なんで結馬が妊娠したの…?ほんとうはΩだったの…?」と、最後まで釈然とせず読了。

              なんとこの世界では、全人類が可能なんですね!どんなスーパー攻め様も孕む可能性のある世界…!ワンダフル!

              α=攻めという、固定概念に凝り固まった己のBL脳に喝を入れられた思いであります。

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                「大胆不敵ラブコール」 塔サカエ

                歳をとったせいか、近頃じゃ高校生くらいの子が全力で青春している姿を見ただけで、なんだか泣けてきてしまう。

                涙腺がもろくなって、困ったものだ。

                 

                この漫画のふたりも、バカで不器用でとにかく一生懸命。

                壊れ気味の涙腺を、見事直撃されました。

                 

                コミュ力抜群の金髪ムードメーカー・垣本は、高校進学早々、風邪で一週間休んでしまったクラスメイトの沖くんを家まで迎えにいく。クールで人見知りな沖くんの友だちになろうと奮闘する垣本だったが、沖くんのガードは固く、なかなか心を開いてもらえない。

                それでも、どうにか手作り弁当を味見してもらえる仲になった矢先、転勤族の父に伴って転校することが決まってしまう。

                 

                めちゃくちゃ人懐こい垣本と、必要以上に人との距離を詰めようとしない沖。

                正反対のふたりだけど、その両極端な性質の根っこに、ぬぐいされない「淋しさ」があるところはよく似ている。

                 

                仲良くなってもすぐお別れしなきゃいけないことを受け入れてしまっているから、垣本はいつだってにこにこ笑って、広く浅く、離れ離れになったって傷つかない関係を築いてきた。

                どんなときも笑ってさえいれば、かなしくならずに済む。

                そんな垣本にとって、親しくするほど迷惑そうな顔をする沖くんは、はじめから気になって仕方ない存在だった。

                垣本がいろんなことに本気になれないように、沖もまた、何かに心を預けることを恐れている。

                もしかしたら垣本は無自覚に、沖が抱える孤独に気づいていたのかもしれない。

                 

                だけど、ふたりとも未熟で、まだまだ自分のことだけで精一杯。

                なんで離れてもお互いのことが気になって仕方ないのかなんて、単純な問いの答えにも大きく遠回りしてしまう。

                あんなに沖くんに夢中だったくせに転校先であっさり彼女をつくってしまう垣本も、自分から電話しておいて何も言えずに叩き切ってしまう沖も、ほんっと〜〜〜に不器用すぎる!

                でも、このじれったさが青春の醍醐味。そして、自覚してしまったら止められないのもまた若さゆえ。

                沖くんへの気持ちを自覚した垣本のアプローチは、ちょっとまぶしいくらいにド直球。

                相手の気持ちを試したり、卑屈になって想いを捻じ曲げることなく、垣本はまっすぐ沖への真心を伝えつづける。その姿はまるで「北風と太陽」の太陽そのもの。

                 

                シンプルに想いを伝えることって、簡単なようで難しい。

                一生懸命に互いを想い合うふたりの姿に、あらためて恋ってすばらしい!と感動してしまいました。

                 

                友だちの延長線みたいなふたりだったので、ちゃんと想いを遂げられるんだろうか!?と心配したけれど、ドッキドキの初体験では、予想外にエロい沖くんが拝めて大満足!

                垣本にドロドロにされて泣いちゃう沖くんかわいすぎか…!

                 

                ぜひ、沖弟と幼なじみのスピンオフもお待ちしております。

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                  「それに名前をつけるなら」 鮎川ハル

                  これ大っっっ好き…!童貞年下攻めバンザイ。

                   

                  鮎川ハルさんは、ふつうの男の子たちのアレコレを描かせると絶品だ。

                  とくべつイケてるわけでもなく、かといって、スクールカーストの最下層ってわけでもない。彼女ほしいな〜なんて夢想しながら、仲のいい友だちとバカやって貴重な青春を空費している男子高校生や大学生たち。

                  そんな等身大の男の子たちの恋模様を、ときにくすっと笑ってしまうコミカルさを交えつつ、丁寧に描き出してくれる。

                   

                  この漫画の主人公である佐野もまた、どこにでもいそうな男子高校生。

                  合コンやりまくりのキャンパスライフに夢を馳せつつ、草野球でムラムラを発散させている。

                  友人とでかけた大学の学園祭で、女の子相手にもスマートなサブカル眼鏡の大学生・藤田と知り合った佐野は、藤田をモテの師匠とあがめるようになる。ところが、失恋して涙する藤田の姿を見てしまい、なぐさめるうち、藤田から「俺で童貞切ってみない?」と衝撃的な提案をされ、つい流されてしまう。

                   

                  やりたい!童貞捨てたい!という勢いだけで藤田とカラダの関係を持ってしまった佐野だが、ものなれているくせに、ふと無防備な一面を見せる藤田に翻弄され、だんだんと恋を知っていく。

                  大人な藤田に追いつこうと、精一杯背伸びする佐野の純情っぷりがとにかくツボ!

                  入れてすぐ動くなといわれてフリーズしてしまう童貞らしさ全開の気遣いには、藤田さんも思わずわらっちゃってたけど、こういうひたむきさが佐野のいいところである。

                  そして、「そーゆー時はキスしてよ」なんて、さらっと誘ってしまう藤田さんもまた、罪深いかわいさ。

                  佐野視点で描かれているので藤田がものすごく大人に見えるけど、ほんとうは藤田だって余裕なんてないのだ。童貞の後輩で遊んでいるように見せかけて、ノンケの佐野がいつ我に返るのか、不安を抱えている。

                   

                  蓋を開ければ、恋に不器用な者同士、とにかくかわいいふたりだった。

                  体育会系ゆえか、付き合ってからも師弟関係が抜けなくて、おねだりするときに敬語になってしまう佐野に萌え死にそう。

                  どんくささ全開の佐野くんも、いつか藤田さんに言葉責めかましたりする日がくるんだろうか…と思うと、心底年下攻っていいものですね!!この妄想だけでご飯3杯おかわりできます。

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                    「恋する暴君」 10 高永ひなこ

                    相変わらず夢見がちな森永と暴君な先輩だけど、先輩がなんだか前より優しい…!?


                    いままでずっと、宗一さんがなんとしても我を通そうとして、森永が無理やり押し倒しての繰り返しだったのに、先輩がいままでよりいくらか、森永を尊重しようとしている…!

                    いや、それでもじゅうぶん暴君なんだけど。笑

                    これまでがこれまでだけに、「先輩、すごく無理してがんばって歩み寄ってるな〜」と感動してしまった。

                     

                    地元のゲイ友が結婚式を挙げると知って、うらやましさ全開の森永。

                    ダメ元で宗一を二次会に誘ってみたところ、九州の酒とうまいものに引っかかった宗一から「考えてみてもいいけど…」という、宗一的には最大限の色よい返事が。

                    ふたりきりでのはじめての旅行に浮かれまくりの森永だったが、宗一はどうやらなにか別に思うところがあるようで…。

                     

                    家族想いな宗一としては、森永が家族と断絶していることがずっと気にかかっていたんだろう。

                    つまり、宗一にとって森永はもはや身内同然の存在になっているのだ。他人に興味のない宗一が、わざわざ面倒ごとに首をつっこんで、怒ったり心を砕いたりしているって事実が「特別」以外の何者でもない。

                    相変わらず口は悪いけど、先輩は森永が思っている以上に森永のことを考えてくれている。ぶっきらぼうだし、乱暴だけど、そこに「照れ」が見え隠れするようになったのがいとおしい。

                    描き下ろしの宗一視点の短編は、森永に恋しはじめた宗一の戸惑いがなやましくてくらくらしてしまった。


                    森永くんの考えるラブラブな恋人同士までは、まだまだ遠い道のりかもしれないけど、先輩は先輩なりにちゃんと前進しているだなってことが、実感できる九州旅行編だった。
                     

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