「鬼灯の冷徹」 11-12 江口夏実

しょっぱなからリーマンパロきた!!!
ホモサピエンス擬態薬&リーマンスーツで変装し、現世の企業で潜伏調査をする鬼灯。
現代版鬼灯はちょっと銀魂の副長さんに似てるな。人相悪すぎて堅気に見えないところが素敵。
現世でのコードネームは「加々地」くん。鬼灯がさすらいの超有能派遣社員なら、白澤様は受付嬢から秘書課のマドンナ、営業庶務のお局様まで、ありとあらゆる女性社員と浮名を流すいけすかない社長令息ですかね。現パロまったなし…!

リーマン生活のため、髪を短く切った鬼灯のうなじがなんとも寒々しい。
髪を伸ばしてたのは、きっと虫除けも兼ねてたんだろうな。こんな色気垂れ流しにされては、亡者たちが惑わされかねない。
理容店は自分の顔と向き合ってるのが苦痛だし、伸びると面倒でつい自分で切ってしまう。ちょっと長めの髪は、おしゃれじゃなくて忙しさにかまけた結果だったのね。
ほうっておくと仕事ばかりしてる鬼灯に、閻魔大王は縁結びをけしかけたこともあったよう。
しかし、仕事中は「無の境地」でほかのことに気が回らない、という鬼灯。筋金入りのワーカホリックである。

なんだかんだで鬼灯のことを気にかけている閻魔大王と、どこ吹く風で仕事に打ち込む鬼灯。
やっぱりふたりの関係は、親と子どもみたいでほほえましい。

第90話 恨みつらみあってこそは、鬼灯の生前の私怨についての解説編。
「生け贄にされたこと自体より、よそ者・みなしごという点を持って排除対象にされたことが何より不愉快」というところが何とも鬼灯らしく筋が通っている。自分が納得すれば何でも受け入れるけど、自分でどうしようもない理不尽にはけして屈しない。
鬼灯のトラウマを慮って過去に触れまいとする唐瓜と、自ら傷口に塩を塗りたくって殺菌してしまおうとする鬼灯の対比がおもしろい。恨みをネガティブにとらえる唐瓜のやさしさと、恨みを原動力に変えてしまう鬼灯のひねくれた前向き。そして、恨みなんて一瞬で忘れ去る究極生命体・白澤様。
唐瓜を間にはさんで、鬼灯と白澤はやはり両極にいる。正反対のようで、恨みを自分にとって負のものにしてしまわない、という点ではよく似ている。遠くて近い不思議な関係。

鬼灯のワーカホリックぷりを心配したシロは、休暇を兼ねたエジプト旅行へ誘う。
古代エジプトの「死後の世界」を堪能する鬼灯だけど、シロさんが鬼灯不在の助っ人を託した相手はなんと白澤様。引っ越し騒動の仕返しに(あれ…恨み忘れてないな)、あえてカンペキな仕事で鬼灯のプライドを折ってやろうともくろむ。
さっすが白澤様、鬼灯の嫌がることをよっくわかってらっしゃる!
自分のテリトリーを荒らされて、苛立った黒いオーラを立ち上らせる鬼灯に萌える。

―――――

猫好好ちゃんが、まさかの単品で表紙を飾るとは…!
しかし、カラーで見ると髑髏っぽさが際立ってますます怖い。呪いの書にしか見えない。

動物たちの自己紹介シリーズ、今回はベルゼブブ夫妻に使える山羊の執事・スケープさん。
12巻はこの第94話に持っていかれた。

スケープは中世の魔術大流行の際に、その名の通り悪魔の生け贄にされて殺された山羊。地獄でベルゼブブに拾われ今に至るとのこと。相変わらず好き放題なベルゼブブ夫妻の世話を焼くスケープに、鬼灯も同情の言葉を寄せる。
しかしスケープは恐縮しきって、拾ってもらった以上、身を尽くして働こうと決めているのだと弁解する。
鬼灯はとくになにを言うでもなく、頬杖をついてじっとスケープの話を聞いていたのだけど…その不思議と澄んだ眼差しに、スケープはこの冷徹な鬼神とのあいだに「一瞬共感があった」ように感じる。

鬼灯もまた、生け贄として現世を終え、閻魔大王に拾われた身の上。スケープの話に自分を重ねたことは間違いない。
死ぬはずだった生をつないでもらい、生きながらえている。
鬼灯はけして自分の弱さなんて認めないだろうけど、「いらないものとして捨てられた」という思いがどこかにあるんじゃないか。そして、そんな自分を必要としてくれたひとへ報いたいたくて、身を粉にして働らいているのかもしれない。鬼灯のワーカホリックのゆえんが、少しわかった気がした。
感傷に満ちた弱音や安易な共感なんて、鬼灯には似合わない。でも、血も涙もない鬼にだって、言葉にならぬ過去がある。
鬼灯にあえて何も語らせなかったことで、あまりにもたくさんのことを物語っている見事なひとコマ。

相変わらず画伯が爆発している白澤様。
茄子とのコラボレーションで、芸術展へパフォーマンス・アートを出品。超巨大猫好好ちゃんに、踏みつぶされている。
なんかもう…踏みつぶされてる白澤様を含めて、シュールなアート。自分の下手さなんて一切顧みない突き抜けた芸術家っぷりには、作者さんの美大時代の体験談も反映されているようで、妙な説得力を感じる。
自分に疑いがない人じゃなきゃ、こんなバカと紙一重のこと、やってらんないよな。

記念の第100話は、鬼灯と閻魔大王のいちゃいちゃ回。
長年連れ添ってきただけあって、ときに熟年夫婦のような一面も垣間見せるふたり。

閻魔大王はこんにゃく好き、という噂をゲットして、すぐさまこんにゃく三昧の夕食を用意する鬼灯。嫌がらせと実験を兼ねた、鬼灯にとって最高の娯楽ですね、これ。ビールと魚が好きってこともちゃんと知ってて、あえて用意するという。
閻魔大王様も負けてはいない。「鬼灯君って割りと食堂で決まったものローテーションで頼むよね」と、鬼灯すら意識してなかったところまでちゃんと見ている。
あくまで自分の趣味として一歩引いたことろから周囲を「観察」している参謀タイプの鬼灯と、他者への興味関心が「気づき」につながっている典型的君主タイプの閻魔大王。
どうしても鬼灯は、他者に対して警戒心がある。対して大王様は、自分と異なるものも努めて理解しようとする人間だ。このふたり揃ってるからこそ、地獄がうまくまわってるんだろうな。

「よかったら専用の五右衛門風呂を用意しますよと言ってるのに、断り続けるんですよ」とのたまう鬼灯に平然と「茹でない保証があるなら作るけどさ」と返す大王様。
この「慣れてる」感…やはり熟年夫婦だ。

鬼灯は、自分に害を及ぼす相手にはとことんまで冷酷になれる人間だということを、101話でまざまざと思い知らされたので…五右衛門風呂をほんとうに用意しないうちは、大王様も使い勝手があると思われてるということでしょう。
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