流星のごとく、まっすぐに〜「機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ」#45

※鉄血最新話ネタバレ祭り。ご注意ください。

 

 

 

ああ、今週はもう「シノヤマ劇場版」と銘打ちたいくらい、ものすごくものすごくものすごくシノヤマでした…!

むしろ、シノヤマすぎた…!ここまでシノヤマじゃなくても…!なんて、恨み言すら言いたくなってしまうくらい、これ以上、云うべきことがないくらい完璧なシノヤマで、見終わって、ショックなのか満足なのか、なんだかよくわからない状態だった。

 

革命派の青年将校のなかに紛れ込ませた間諜に違法武器によって自軍を攻撃させることで、同じ違法武器による大規模報復を正当化したラスタル・エリオンの策略により、マクギリスら革命派の艦隊は半数が壊滅。

鉄華団もホタルビの管制システムにダメージを受け、多くの犠牲者を出すことになる。

圧倒的な戦力差はもはや明白。

しかし、マクギリスが掲げるバエルの剣のもと、帰る場所など持たない少年たちは、ただ前へと突き進む。

 

シノはほんとうに仲間想いの気のいい奴で、彼がいるところにはいつも笑いがある。

それは、こんな悲壮な戦況下でも変わらない。

大怪我して帰ってくれば、まるでコントみたいに痛がって冗談みたいにしてしまうし、死地にのぞむ決死の作戦も「スーパーギャラクシーキャノン」なんてふざけた命名とともに語られると、心配するほうがバカなんじゃないかって気にさせられてしまう。

あんまりシノがいつもどおりで、ここがどこかってこと、忘れてしまっていた。

 

鉄華団はただ前へと突き進むことでここまできた。

なかでもシノは、鉄華団きっての猪突猛進の一番隊長。一期ではお調子者で向こう見ずな面が際立っていたが、仲間の死によって己の無力を知り、あたらしい仲間と出会って守るものも増えた。二期でのシノはただ勢い任せというわけではなく、ともに戦う者を鼓舞し、うしろにいる仲間たちの盾となろうとするような覚悟が感じられるようになった。

オルガや三日月、ユージンや昭弘。それぞれが、それぞれのできること、やるべきことをまっとうするなかで、シノは自分の役目を「どんなときも突き進む」ことだと決めたのだろう。

ずっと隣にいたヤマギは、笑顔の下でシノが覚悟を決めていたことに気づいていたんじゃないかと思う。

本人すら気づかないうちに、彼が死の覚悟を決めてしまっていることに。

 

ヤマギくんは、どんな思いでこの最終兵器を整備したんだろう、と考えてしまう。

シノは男の子がスーパーカーに憧れる無邪気さで強さを求めるけれど、強くなればなるほど、その強さに値する危険な戦場へと赴かなければならなくなる。三日月が強さの代償に自由を支払ったように、大きすぎる力は使うものの命を削っていく。

自分からシノを奪うかもしれない武器を、ヤマギは自らの手で完成させた。

それは、鉄華団や仲間のためではなく、ただシノのためだったんだと思う。

ヤマギもまた、シノの「相棒」という役目を、最後までまっとうしようとしたんじゃないだろうか。

 

どんなときも、シノは勝手に決めて、勝手に突っ走っていく。

ヤマギは文句をいいながらも、シノに頼まれると断れない。ヤマギには、命をかけて戦っている戦士の領分に、守られているだけの者が口を出してはいけないと思っているような節がある。

だから、シノが何をしていてもやめろとは言わない。「ひとりで行けよ」と突き放して、ぎゅっと自分の殻にこもろうとする。そんなヤマギの頑なさなんてお構いなしに、シノは何度だって笑いかけるのだ。

このシノの無邪気さに、ヤマギがどれだけ救われて、どれだけ傷つけられたのかと考えるだけで、永久機関的に萌えられる。

 

艦に帰還したシノのコックピットにヤマギくんが駆けつけてからシノの再出陣まで、あらゆる場面がめくるめくシノヤマだった。

シノがヘルメット同士をぶつけてヤマギを黙らせた場面、これが宇宙空間じゃなければ、間違いなく口で口をふさぐやつでしたね…ここが宇宙でよかったのか、残念だったのか、もはや私には計り知れません。

そして、ここにきてついに、一期から全シノヤマ民を釘付けにしてきたシノの「おねえちゃんの店」問題が再浮上。まさか、ここにメスを入れてくるとは…!

脳裏を埋め尽くす「公式公認キターーーーー!!!」の弾幕!

5回繰り返し観てやっと、「シノを喪うかもしれない状況で、一片の疑いもなく帰ってくること前提の話をするシノの無邪気さにやりきれない思いがするヤマギ」というルートに思い当たったものの、正直、初見では「自分の恋心にも気づかず、お姉ちゃんの店をおごってやるなんて無神経発言のうえ、ふたりで飲み明かそうなんてうれしがらせを口にするシノがいとしさ余って憎さ百倍のヤマギ」というルートしか思い描けませんでした。

 

ヤマギくんの前髪を掻き上げるシノ、ほんっとなんなん!!?

ヤマギくんの顔を見ておきたかったの?やわらかそうな髪に触りたかったの?いつも隠されてる綺麗な青い瞳に、ちゃんと自分を映しておきたかったの?

基本的にスキンシップが多いふたりだけど、ヤマギくんの素顔がはじめて晒されたのが、シノの前でっていうのがほんとうにプレシャスすぎて、いくら感謝しても感謝しきれません。

シノにとって、この任務は終わったら祝杯をあげるべき一世一代の大仕事。しかし、ヤマギにとってはシノを死地へと送り出さなくてはならない苦境に等しい。

ヤマギの「ふざけるなよ、ひとの気持もしらないで」は「ふたりで」ではなく「飲み明かそう」にかかってたんだろうな。成功したところで、諸手を上げてよろこぶには賭けたものが重すぎる。

 

作戦遂行直前まで、流星号のコクピットで調整をつづけるヤマギ。

骨折した腕でモビルスーツを操作するため、包帯で手のひらと操作盤を縛りつける。うめくシノにあやまるヤマギの頭を、シノがぽんと叩くのが好きだなぁ。シノはほんと、ヤマギにやさしいよね。

ずっと相棒として、自分の気持ちを押し殺してきたヤマギだけど、ここでついに「死んだらゆるさない」と本心を漏らす。

いつもどおり、その祈りにも似た言葉を笑いとばしたシノだけど、その眼はきっと、穏やかに凪いでいたんだろうな。

 

頼むとか、お前にしかできないとか、「相棒」のヤマギには絶対断れない言葉をつかってヤマギを追い込むシノが、心底かっこよくて、心底憎らしかった。

ヤマギは、自分がシノのためにできることなんかほとんどないって思っているかもしれないけど、シノはヤマギのこと、言葉どおりに頼りにしているんだと思う。ヤマギがいたから、シノは怖いもの知らずの一番隊長をまっとうできたんだ。

ヤマギはそんなこと喜ばないかもしれないけれど、それでも知っていてほしい。ヤマギがそうだったように、シノも「相棒」のことを誇りに思っていたにちがいない。

 

シノの花道は、さながら劇場版みたいな力の入りっぷり。

こっちまで息が浅くなりながら見つめていた。

 

二期にはいって鉄華団は多くの仲間を喪ったが、どの仲間もみんな、組織の大きな力によって不条理に圧殺されていった。

つくづく戦場に「名誉の戦死」などというものはないのだと、痛感させられる。

 

さすがに一期とちがって、今回はもう、笑って「ただいま」ってことはないかもしれないけど、それでも、まだわからない。死んでしまった前提でここまで書いてきていまさらだけど、ヤマギくんがあきらめないうちは、自分もあきらめないでいようと決めたので、せめて来週までは一縷の望みを捨てないでいたいな…。

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