「ましたの腐男子くん」 2 黒岩チハヤ

自分攻め妄想がとまらない筋金入りの腐男子・幹くんと、純情ウブなゲイの会社員・曽我部さん。
幹くんが曽我部さんを腐男子仲間と誤解したのがきっかけではじまったお付き合いは、ついに実践編へ!

曽我部さんがピュアすぎて1巻ではキスどまりだったふたりですが、いつまでもお手てつないで満足しているわけにもいかない。幹くんは堂々と曽我部さんに「挿れたい」宣言。おぬし…押し倒したもん勝ちのBL法則をよく心得ておるな。
いっぽうの曽我部さんはといえば、ノンケの彼を引き込んだうしろめたさとノリノリな幹くんのギャップに、なかなか気持ちが追いつかない。見られたら恥ずかしいからと初体験に目隠しを用意したり、幹くんの腐男子友だちに嫉妬したりと、ひとりでからまわってしまう。

とても楽しみにしていたふたりの初合体だったのに…なんだか胸がモヤモヤするのはどうしたことか。
自分攻めのシチュエーションにすら妄想余裕!な幹くんの腐りっぷりが、この漫画のおもしろおかしいところ。でも、妄想が妄想たりえるのって、あくまで「傍観者」だからなんですよね。他人事だからこそ、軽率に萌えられる。
1巻では「近所の受けっぽいリーマンに萌えてる腐男子」だったから笑いとばせた幹くんの軽率さが、いざ曽我部さんとリアルに恋人になった2巻では、なんとなく引っかかる。
曽我部さんと恋愛してるというより、自分と曽我部さんで二次創作してるようにみえてしまって…。
曽我部さんがどれほどかわいいリーマンだろうと、実際の彼は「受け」じゃない。
恋人の浮き沈みより、攻め失格な己の耐久性に落ち込んでいる幹くんを見てると、幹くんあんた、BLじゃなくて「恋愛」してる自覚があるんだよな!?萌えのためだけじゃなく、ちゃんと曽我部さんのことみてあげてるか?と気を揉んでしまった。
私だって腐女子なのに…!安心して萌えさせてくれよ!

それでも波乱万丈の末、なんとかたどりついた初合体では幹くんの妄想が爆発。
余計な知識つけてる分、幹くんのほうがよっぽど童貞っぽいな!
このままアブノーマルに突き進んでしまうのでは…と期待したけど、どうやら曽我部さんのピュアネスが幹くんの妄想にうち勝った様子。
かっこいい攻めになりたいのに、曽我部さんの初々しさにヘタレてしまう幹くんをみて、ちょっとほっとしました。
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    「愛の本能に従え!」 樋口美沙緒

    ムシシリーズ最新刊。
    思えばこのシリーズも、オメガバースの亜種といえるのかも。アルファメールとして社会を統べるハイクラス種の攻めがいて、か弱く儚いながらも特殊な能力を有するオメガ的な受けと恋に落ちる。
    種の繁栄と拮抗するように恋が描かれていくところにも、オメガバースと通じるものがある気がする。

    ナナフシを起源種とするため、ハイクラスでありながら影の薄い七安歩。
    わけあって家を追われた歩は、進学した学園の寮で憧れていたテニス・プレイヤーの村崎大和と同室になる。ひそかに心躍らせる歩だったが、オオムラサキの大和にはほかのオスがマーキングした個体に欲情する性質があり、寝とりゲームに巻き込まれた歩は無理やり大和に抱かれてしまう。

    ずっとムシシリーズは「攻めがクズ」シリーズと思っていました。(そこが萌えポイントでもある)
    ところが、大和はこれまでではいちばんまともな攻だった気が。がさつでちょっと無神経ながらもまっすぐで、オオムラサキの性質に抗おうとする大和。そして、とことん控えめで自己評価は低いけど、誰より心根のやさしい歩。
    度重なるすれ違いはあっても、お互いが失くしてしまった「欠片」を持つふたりが惹かれあうのは明白で、あまくせつない両片想いを堪能させてもらいました。やっぱり攻めも受けもいい人なBLは読んでいて癒されるな〜。

    しかし!それでも私は、途中まで不安な気持ちを拭い去れなかった。
    受けも攻めもいい人…いや、それだけで話が終わるわけがない!
    なぜなら、樋口さんは六青さんと同じく不憫受け萌えを得意とする作家さん。受けがかわいそうな目にあい、攻めが己の浅慮や無体を悔い改め、受けが報われるという「落として上げる」形式で萌えが発動するのが不憫萌えの特徴。
    攻めが直接受けに無体を働かない場合は、攻めの代わりに第三者が受けを陥れ、攻めが己の不覚を後悔するという可能性が高まります。つまり、攻めがクズでなかった場合、さらなるクズが登場するのです。
    これを私は「クズの質量保存の法則」と呼んでいます。
    つまり、大和がクズじゃない=さらなるクズが現れる可能性大。しかも大和には、執拗にちょっかいをかけてくる志波というやっかいな従兄がいる。
    これは歩が志波にNTRフラグでは!?と気が気ではなく、最後まで緊張感がとぎれることなく読了しました。笑

    起源種を元ネタにしたエロシチュと、主人公の生い立ちにまつわるシリアスなストーリー性の両方がしっかり盛り込まれているのがムシシリーズの魅力。あらすじだけ読んだ時点では、今度はNTRか!?とドキドキしてましたが、終わってみればめちゃくちゃピュアな初恋物語でした。
    つぎはスオウや麻耶先輩みたいな、強気受けのお話も読んでみたいな〜。ごちそうさまでした。
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      「パパ’s アサシン。〜ダニエルは飛んでゆく。〜」 SHOOWA

      長年の想い人である父・ダニエルに、ゲイであることがバレてしまった龍之介。自暴自棄で親子喧嘩なんてしてみたのもつかの間、突如牙を剥いてきたダニエルのかつての敵に追われ、ふたりは日本を発つことになる。

      ひとを殺めて飯を食っていたころのダニエルと、龍之介出生の秘密。
      ふたりが親子になるまでの物語が明らかになる第2巻。ラブは控えめだったものの、緊張感あふれるシリアス展開のなかにも度肝を抜くギャグをぶちこむSHOOWA節はますますキレを増していて、夢中で読了。

      数奇な運命が重なり合った末、なりゆきで龍之介を育てることになったダニエル。
      この過去編を読んで、血のつながらない息子を彼がこれほどまでに愛するのには、どこか贖罪の念があるのかもしれないと感じた。そして、それだけにいっそう、ダニエルは龍之介の想いに応えてはくれないだろう。
      いっぽうの龍之介といえば、危険と背中合わせの逃避行だろうと、誰も知らない街でダニエルとふたり「恋人のふり」をして過ごせるというだけで舞い上がってしまえる。
      どんなにいい息子でいようと思っても、手と手が触れ合っただけで、努力はすべて無駄になる。
      これまでずっと、ダニエルの代わりになるものを探し求めてきた龍之介だけど、怒涛の日々の中でとうとう、結局ダニエルしか好きになれない自分を受け入れたようですね。
       

      「あー俺の欠けちゃったトコ 多分もう欠けたまんまだ」


      この龍之介の台詞が、なんともせつない。

      ダニエルにとって龍之介はあくまでかわいい息子。その愛を裏切ることはできない。
      いっぽうで、父とわかっていながらダニエルを愛してしまう龍之介の想いだって、なかったことにはできない。
      変えることのできないダニエルへの想いと、変わらないダニエルからの愛。龍之介はその両方を胸に抱えて、ダニエルのそばにいつづけることを選んだ。
      愛することは、ただやさしくあまいばかりではなく、ときにひとを苦しめもする。
      愛するがゆえの苦しみを受け入れられるようになった龍之介はもはや、愛されたがるばかりの子どもではないのでしょう。

      龍の出生を思えば、このままふたりいっしょにいられるかどうかもあやしいものだけれど…「子どもだから」なんて言い訳で、それでも触れていたいと願う龍のせつない想いにパパが気づいてくれる日はくるのか。

      でも、いうてもこれはBL本。立派なヘンタイ親子になれる日まで、くじけるな龍之介!
      俺たちにエロいダニエルをみせてくれ!!
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        友だちに腐女子をカミングアウトすべきか?問題

        別宅の感想を更新するついでに、ひさびさにBL感想ブログをめぐってきました。
        このブログをはじめたころにお世話になっていたブログさんはほぼ残っていないor凍結状態なのですが、いまもおもしろい感想ブログさんがたくさんあるんだな〜とうれしくなりました。
        せいきへの修正について触れる記事が思いのほか多く、「時代だな…」と感じ入ったり。個人的には、描いてても描いてなくてもOK!妄想で補います!派なので、深く考えたことがなかったです。
        これおもしろそう、こっちも気になる!と思える記事がたくさんあって、わたしももっと読もう!そしてたまには感想書こう…と心をあらたにしました。最近ほんとうにBLの感想書いてないので…とほほ。

        歳が離れていたり、男性だったり、自分と視点の異なるひとの感想をよく読みます。
        主腐の方のブログを読むことも多いのですが、そうするとよく話題に上がるのが「家族に腐女子をカミングアウトするか?」問題。
        漫画好きはオープンでも、BL好きは秘密という方が多いようで、本をどこに隠すのか…PCの管理法は…など、ついつい興味津々で読んでしまいます。
        こちらの記事を読んで、旦那さん気づいてるのかもな〜と思わずにやり。
        明言しない旦那さんのやさしさにも、自分からはいいたくないというブログ主さんの恥じらいにも萌えます。腐女子萌え!

        この「あえて言わない」感じ、すごくよくわかります。
        私も基本的に自分からすすんでカミングアウトはしません。
        会社の後輩さんのなかにはオタクオープンな女の子もたくさんいて、誰とでもオタトークできるって楽しそうだなあとうらやましく眺めたりもしていたんですが、やっぱり私にはハードルが高い。オタクというより圧倒的に腐女子寄りで後ろめたいというのもあるんですが、こればかりは性格でしょうね。
        同好の士と語り合うのは大好きだけど、衆目に晒されるのには抵抗がある。この趣味について知りたいと思ってくれるならいくらでも伝えたいけど、興味のないひとにわざわざ教える必要もない、というスタンスです。

        なので、いまのところ私が腐ってることを知ってるのは、大学時代の友人たち(非オタク。私がBLにハマったのが大学時代だったため、有無を言わさず萌え話を聞かされてきた)と、同じくBL読みの会社の同僚くらい。
        うちの両親は「新聞の四コマもジャンプもエロも漫画はぜんぶ漫画」という前時代の人間だし、離れて暮らしているので、私の隠した趣味がバレるおそれは今後もなさそうなのです。

        そんななかで、唯一私が「バレてるかも…」と気がかりなのが、25年来の付き合いになる幼なじみ。
        幼稚園から高校までいっしょで、いまもいっしょにライブに通うとても仲のいい友だちです。
        正直、彼女に知られたところで困ることはないし、とがめられることもないはず。
        実際バレてるんだろうな…とも、うすうす感じています。
        震災の折、うちへ一週間ほど避難していたことがあり、本棚の「きのう何食べた」や「西洋骨董洋菓子店」を読んで「よしながふみって同性愛っぽいの描いてたんだね〜」みたいなこともいってたし(いちおうガチなBLはクローゼットへ隔離してました)、なにより尋常じゃない蔵書数をみるだけでオタクであることは一目瞭然。
        小学生のころには、いっしょに漫画も描いていた彼女のことです。間違いなく勘づいていることでしょう。

        でも、これまでなんとなく隠してきてしまったせいで、いまさら「じつは私腐女子なんだ〜」とは言いづらい!
        友だちも私の気まずさを察してか、わざわざつっこんではきません。
        「そのうちに…」と思ってるうちに、タイミングを逃してしまうパターン。
        これがBLなら、すれ違ってこじれるフラグです。我々が受けと攻めならすぐさま想いのすべてを言葉にすべきですが、ごくふつうの幼馴染みなので「ま、いっか」と見て見ぬふりに落ち着いています。

        そんなこんなで、いまだに私のBL好きは秘密のまま。
        もうお互い気づいてるけど、あえて言わない。そんな愛のかたちもある…。
        それでいいと思えるのは、私が彼女との関係を「いまのままでじゅうぶん」と思っているからでしょう。オタクを介さずとも楽しく過ごせる相手なので、私の趣味については知ってもらっても、もらわなくてもかまわない。

        もし、いつか彼女が「BLっておもしろいの?」と思う日がきたなら、全力でオススメをプレゼンしたいな〜。
        高校時代、ふたりでバンプに夢中になったときみたいに!
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          「Axis power ヘタリア」 日丸屋秀和

          ヘタリア読んで日が暮れて。
          途中、買い物へでかけたり宅配便が届いたりしつつも、一日中読んでいたというのに、まだ読み終わらない!これほどのボリュームを無料で読めてしまうなんて、そりゃあ人気も出るはずだ。

          いまさらながらすっかりはまっています、国擬人化コメディ。
          おもな時代背景はWW1〜WW2のころの戦争まっただなかですが、堅苦しい話は一切なし!くすっと笑ってしまうようなおもしろエピソードばかり。どの国もキュート&チャーミングで、モニタのまえでによによしっぱなし。
          こうなるとリアルタイムで読まなかったのが悔やまれるけど、何事にもタイミングがあるのでしかたない。
          BL漫画ではありませんが、感想がアレすぎるのでBLカテゴリにしました。すみません。

          なんといってもイタリア&ドイツがかわいすぎてつらい…!
          戦う前に逃げ出してしまうヘタレなイタリアと、そんな困ったちゃんの尻拭いに奔走する苦労性な堅物ドイツ。このデコボコ親友コンビが、なんともチャーミングなのです。
          傍から見ればどーみても両想いなのに、当事者たちだけは友情と信じてぐるぐるしてるなんて(妄想)。堅物マッチョな色男ドイツさんが、能天気なイタリアをつい「かわいい」と思ってしまい、困惑&葛藤しまくるなんて(妄想)。
          独伊のおいしさはなんといっても、このドイツさんの我慢強さ。煩悶する朴念仁萌え!
          男同士だから…友人だから…と理由をつけて、鉄の意志で自制しようとしているにもかかわらず、ふとした瞬間に「かわいい」「触りたい」と思ってしまっては、そんなことあるかあぁぁ!!!と人知れずジタバタしてるドイツさんに、とてつもない男の色気を感じます。
          あくまで「友人同士」であるがゆえに、ラブラブななかにもひと匙のせつなさが効いている。そこがなんともいえず、初恋風味でイイ…!体格差もたまらないし、ドイツに嫌われた…って不安になって泣いちゃうイタちゃんかわいすぎるし、そんなイタちゃんがかわいくてたまらずそわそわしてしまうドイツさんもかわいいしで、かわいいの乗算がとまらない。

          とかなんとかいっても、ぜんぶお前の妄想だろうが!とお思いでしょうが、そんなことありません!現実です!!
          ハグキスはあたりまえ!
          ふつーに同じ布団で寝てるよ!(イタちゃんは裸だよ!!!)
          ドイツはイタリアに自分のペンダントをプレゼントしてるし!!(所有の証だね!)
          挙句の果てにはプロポーズまでしてるらしいですからね…!(このへん未読!はよ、はよ読みたい)
          極めつけには、ふたりは遠い昔の初恋の相手という超超超美味しい再会愛設定まであり。
          ピュアっピュアなちみっこたちのファーストキスにハートうを撃ちぬかれ、不覚にもPC前で泣きました…。パンツ漫画なのに…独伊は冗談抜きに公式が最大手。

          ほかにもかわいいCPもといかわいいキャラが満載なのですが、連合側に関しては、自分のなかで正解の組み合わせが見出せず。
          島国CPもかじってみた結果、私の好みは英国右かなってとこまでははっきりしたものの、左が決められなかった。因縁の塊な仏もいいし、けんか別れした米国もいい。これは迷う…!
          どうせならどっちも楽しめればいいんだけど、CP固定派なので左右きっちり定まらないと萌えに発展しないんですよね。じっくり考えよう。

          友人にアニメもすすめてもらったので、夏はヘタリアみよっかな。
          春アニメ終了でおセンチ気分だったけど、萌えてきたぜ〜〜〜〜!!!
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            「東京純情コンバース」上・下 佐野裕貴

            96年に鳩村さんが別名義で出したデビュー作が復刊。
            うわさには聞きながらも、読む機会はないだろうと思っていたので、よろこび勇んで買ってきた。

            生徒会役員としてそつなく過ごしながらも、子どもっぽいクラスメイトたちとは一線を引いている葛生巧馬。
            ある日の朝礼で倒れかけたところを、札つきのワル(という仰々しい肩書からして、時代を感じますね)という噂の内水主税に助けられて以来、巧馬は主税の履いていた黒のコンバースが忘れられない。
            優等生と不良。学校での立ち位置は正反対でも、子どもと大人のあいだで、内面にはそれぞれに同じような葛藤や焦燥を抱えていた。価値観のちがいに反発し、ときに傷つけあいながらも、ふたりはやがてかけがえのない相手として必要としあっていく。
            自分の気持ちに正直な巧馬は、恋に対しても真正面からぶつかっていく。真面目だけど四角四面ではない、頭のキレる男前として描かれているところが鳩村さんらしい。

            それにしても、鳩村さんにもこんな王道センシティブを書いていた時代があったんですね。
            掲載誌の特性もあってか、繊細で壊れやすい、迷える若者たちの青春譚。好き同士だからといって、すぐに身体の関係には結びつかない潔癖さや、欲望へのおそれ。とうに忘れてしまった十代のころの純情を、むずがゆく思い出した。

            タイトルからもわかるとおり、当時の風俗が色濃く反映された内容なので、過去の遺産をなつかしむ気持ちになるのは避けがたい。時を経ても色あせない名作かといわれると、そこまでには達していないと思う。文章も作風も、いまよりずっと荒削りで手さぐり。
            ただ、これが書きたい!とほとばしる情熱は、いまと変わらず、あるいはそれ以上に伝わってくる。
            核にあるものは変わらないが、「佐野裕貴」が「鳩村衣杏」なるあいだに、明確に作家の書きたいものが変わっていると感じる。自分が書くべきものを掴んだからこそ、鳩村さんはもういちど別名義でデビューしたんじゃないだろうか。
            こうして「佐野裕貴」が「鳩村衣杏」へ変わる道のりを垣間見ることができるのも、ずっと書き続けてきてくれたおかげだなあ。

            「鳩村衣杏」の片鱗が感じられるのは、むしろお兄ちゃんたちのスピンオフ「東京恋愛コンサイス」のほう。
            鳩村さんの理に長けた文章はやはり、描写にこだわるより、小気味よい会話や気の利いたやりとりで魅せるタイプだ。

            触れなば落ちんという風情の美貌に反して、いつも飄々として弱気はみせない成悧。挫折知らずでどんなときも人の中心にいたはずが、はじめてままならぬ相手と出会って振り回される将吾。
            好きだけど、負けたくない。好きだから、かっこう悪いところは見せられない。
            本音を隠したつもりでも、はしばしに想いがあふれてしまっている言葉のいちいちににんまりしてしまう。
            いつも絶対自分を曲げなかったふたりが、お互いの前でだけプライドを投げ出してみせる。恋のためにおろかになる。
            まるで「勝負」みたいな、意地とプライドをかけた丁々発止の恋模様に、これだよこれ!と膝を打つ思い。

            わがままな猫みたいな成悧だけど、素直になれないだけで、ほんとうは将吾に純情一途なところがかわいいんですよね〜。はじめてのときの成悧のかわいさったら…そりゃあ将吾もめろめろになるだろう!と。
            成悧も将吾もデキる男だけど、自分なりの「美学」とも呼べる揺らがぬ信念を持っている。
            ただ見目が美しいだけ、お金を持ってるだけじゃ「いい男」とはいえない。鳩村流の「いい男」は、デビュー時からすでに完成されてたんだな。
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              腐り始め(がいちばんうまい)

              腐始めに同人誌を売りにいってきた。

              秋口にイノウエさんの本を読んだのが呼び水となり二次を漁り始めたおかげで、ただでさえ腐海だった部屋がさらなるカオスへと化していた。古いオリJune本も合わせて、泣く泣く整理整頓。
              値段がつくうちに…と、流行のジャンルの本はお気に入りを除いて手放した。特典小冊子なんかももっていったけど、売り時を逃してしまうとたいしたお値段はつかないんだな。そして、ジャンルが盛り上がっているうちなら、どんな本でもそれなりに値段がつくということを知る。
              宗凛本はぜんぶ買い取ってもらえた。これを軍資金にして、また宗凛本買うのだ。エコサイクルや!

              査定のあいだに店内の同人誌を物色。
              誕生日プレゼントだ!一年がんばったご褒美だ!お年玉だ!と、年末からこっち理由をつけては通販をポチりまくっているので、さすがにここは自重したほうが…とうっすら慄きつつも、「萌えは一期一会や!」とドーピングきめる。
              ¥5000で買い取ってもらって、¥15000分買い物をするというカモのようなお客です。

              イノウエさんが主催の角飛アンソロがあった!わーい、お年玉だ〜!(もらうほど財布の中身が減る、もはや「落とし玉」)
              ほかにも古キョンとか承花とか火黒とか、脈絡なく買いあさってきた。ほしかった本がたくさん見つかった。表紙があまりにかわいくて衝動買いしたシンジャにも萌え転げた。やっぱり主従ってせつないな…!
              今年もアツい一年になりそうである。

              冬コミの同人誌もぼちぼち届いていてきたし、あと一日贅沢な冬籠りを過ごせそう。
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                パレードはつづく。

                引き続き、ひとり六青みつみ祭り開催中。本日は「天使強奪」を読了。
                「聖天使」と称される天国的美貌のエクソシストと、彼の守護者を命じられた王室警備士の禁断愛。現実の宗教をモチーフとしたパラレルワールド設定に六青さんらしい趣向が凝らされていて、BL以外の部分も楽しく読んだ。
                ひと工夫ある三角関係ものだったのだけど、当て馬のキャラクターが非常に魅力的。六青さんはやはり執着攻めで輝くな!報われなさも含めてすこぶる萌えました。

                あしたは「闇の王と彼方の恋」にしようかな。
                まだまだ積み本があって、いつから六青さんの本積み続けてきたんだろう?と別宅で検索かけてみたら、なんと12年3月に「誓約〜」を読んで以来手つかずだったことが発覚。約2年半ぶりの新刊か!
                2年なんて、大人になってしまえばあっという間だなあ。まさかそんなに長いこと読んでないとは思わなかった。
                それにしても、「誓約〜」で途切れて「裏切り〜」読みたさに再開したあたり、とことん萌えに忠実。かたちはちがえど、どちらも俺様執着攻め。ごちそうさまです。
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                  一日一冊

                  六青みつみ「代償」シリーズの既刊分を読了。
                  先日の日記で「奪還の代償」がない!と騒いだ後、テーブルのうえに積んだ本の山の下から「奪還〜」を発掘。お手本みたいな灯台下暗し!

                  一日一冊読み進んで、最新刊の「裏切りの代償」を今日読み終えた。
                  シリーズものを読みきってしまうと、ひととき滞在した世界から去るようなさみしさをおぼえる。
                  六青さんの本にかならずといっていいほど輪○や凌辱描写が出てくるのは、この界隈ではすでに有名かと思う。BLにおける私自身の基本姿勢は一棒一穴なので、六青さんのお家芸をやや苦手としていたのだが、「代償」シリーズを読んでいて気づいたことがある。
                  六青さんはきっと無理やり萌えなんだな。この無理やり萌えは、加虐の主が攻めか第三者かには関係なく、受けがかわいそうな目にあう、というその一点において発動するようだ。「忠誠〜」や「奪還〜」のように攻めが誠実な良識人だと受けに無体をはたらいたりしないので、かわりに第三者が介入してきて受けがひどい目に遭う確率が上がる。「誓約〜」や「裏切り〜」はすれ違いから攻めが受けを無理やりしてしまうので、第三者の介入が必要ない。受けと攻めの関係ががっつり濃く描かれているので、個人的には「誓約〜」と「裏切り〜」の2冊がとくに好きだ。
                  いずれにしても、「攻めに誤解されて無理やりされたうえ、敵にも拉致監禁されて凌辱」みたいな救いのない展開はない。どのお話もあまさと苦さのバランスが絶妙なロマンスに仕上がっており、二段組みの重厚さにもかかわらずぐいぐい引き込まれた。

                  聖獣攻めなんて沙野さんなら絶対獣○まで持っていく設定だよなあ。でも、六青さんはそっちより輪○のほうが萌えなんだな。ケモ耳萌えひとつとっても、アプローチは人それぞれでおもしろいな〜と、妙なところに感心しながら読んだ。
                  読んでない六青さんの本がまだ3,4冊あるので、つづけて読もうっと。

                  ******

                  追記(12/7)

                  同人誌の整理をしていたら、宇宮さんのデビュー5周年記念冊子に六青さんの対談が収録されていて、六青さんは「無理やり萌え」というより「後悔萌え」なのだと判明。
                  「無理やり」のあとで、攻めが「俺はなんであんなことを…!」って深く後悔するところが萌えなのか。
                  なんでこんなに無理やり好きなのか…と不思議だったんだけど、そのあとが重要なのね。納得。
                  あと、対等より身分差&格差萌えというのにも肯く。六青さんはまったく対等萌えないよな。笑
                  六青さんの萌えは、私の萌え(対等・受け至上主義・下剋上志向・地味萌え)とは対極なので、なるほど〜!そういうことなのか!と蒙が啓かれる思いだった。根っこはまったく別だけど、後悔萌えとか再会萌えとか、好きなシチュエーションがかぶってるからおもしろく読めるんだろうな。
                  英田さんとの対談も収録されていて、こちらは自分の萌えどころと近いのでにやつきながら読み終えた。


                  ―――――

                  繁忙期が極まってきている。
                  やってもやっても終わらない。早く出て行って、遅く帰る日々。

                  ―――――

                  12月に入って、さらに寒さにギアが入った感じ。
                  きのうの夜、コンビニに買い物に出たら凍えるほど空気が冷え込んでいてたまげた。真冬の寒さだ!

                  まだなんとか、暖房はつかってません。でもさすがに麦茶はあきらめて、あたたかいお茶に切り替えた。
                  ぼちぼちコートをおろすかな。トレンチは窮屈でちょっと苦手。会社にもダウン着ていきたい。
                  0

                    美術手帖 2014年12月

                    久しぶりにボーイズラブ特集本を読んだら、ハートに火がついた。
                    あの作家さんの二次ジャンルって…とか支部のあのつづき…とか数珠つなぎに気になって、ネット徘徊しまくり。
                    気づいたら時間泥棒に1時間盗まれてた。ちょっと夢中になると、すかさず盗んでくんだもんな〜。こわいこわい。

                    ―――――

                    このところあらゆる媒体でBLが特集されまくって、うれしい反面及び腰でもある。
                    私にとってBLはやはり秘した趣味なので、衆目に大々的にさらされているのを見ると、どうにも臆してしまう。
                    そのうえ、今回の特集本はなんと、ファインアートの雑誌だったはずの美術手帖社からの刊行。すくなくとも、私が学生時代立ち読みしていたころには、とてもBLなんて特集しそうな雰囲気ではありませんでした…。デザフェス特集はやってたけども。
                    つねに同じランナップの作家が紹介されているのをみると複雑な思いにかられたりもするものの、まだまだ語りつくせない部分があるからこそ、こうして何度となく特集が組まれているんだろう。
                    迷いながらも、明日美子さんが16P描き下ろしを目当てに買ってしまった。明日美子商法…!

                    しかしこの本、読みだすともうとまらない。
                    BLの現場からは離れた視点で編集されているため、ほどよく客観的で記事の内容も濃く、満足度の高い特集本でした。

                    BL表現についての座談会(金田さん、福田さん、山本さんの安定安心のお三方。BLの特集記事ではお馴染みのみなさん)なんて、まるでオタク友だちとアツく語り合ってる気持ちで読みふけってしまった。
                    近年の二次作品における「モブ」表現について誰かと語り合いたくてたまらなかったので、モブについての言及には「そうそうそう!!」とうなずくことしきり。モブという概念をつくったひとってすごいよね〜。
                    ネット上で自然発生したことばなのだろうけど、「オリキャラ」だと恐れ多いのが「モブ」だといくらか免罪符になるところがありますよね。原作至上の二次だからこそうまれた表現様式なのだろう。商業BLでの3P大流行とも無縁ではなさそうな。
                    アニメ化にあわせてジャンルがどんどん流転&多様化するようになり、CP固定よりよろず傾向が強くなったのも、土壌のひとつになってる気がする。オリジナルでも恋煩シビト「溺れる」とか彩景でりこ「チョコストロベリーバニラ」とか、三角関係ものの良作が次々うまれていて、一棒一穴に限らない多角形の関係性萌えが発見されつつあるのかもしれない。

                    いつもひとり悶々とこねくりまわしていたことをきちんと言語化してもらえて、「こういうことだったのか!」と眼からうろこ落ちまくりだった。はああぁあ、脳が高速回転しっぱなしで妙に冴えわたってしまってる。
                    前段のBLクロニクルはものすごく精査されて整理されてるのに、「BLまんがのこれから」の話題になった途端、会話がただの「萌えガタリ」になってるところもすごくあるある。笑
                    現在進行形で萌えてるときって、正直作品としての出来とか考えられない。萌えって超絶主観だから、ハマりこんでるあいだは俯瞰して評価するとかできないんだと思う。

                    巻頭の描き下ろしイラストもすばらしかった。お宝です。
                    「オトコとシゴト」をテーマに、宝井さんは「テンカウント」のふたりの8年前設定(城谷さん三十路だったの…!)、ヨネダさんは「囀る鳥は〜」の超絶色っぽいイラスト描いてくれてます。
                    ヨネダさんのイラスト、ほんと私の萌えそのものだよーーーー!!!!萌えに脳天を直撃される感覚。ヘレンケラーがウォーター!!ってなったときって、こういう気持ちだったんでしょうね。
                    雲田さんは「野ばら」の10年後。うう、こういうテーマでイラスト描いてくれるのうれしい…この一枚だけで番外編一話分あります。

                    雲田はるこや中村明日美子、よしながふみはこうしたインタビューではもはや常連組ですが、さすがおもしろいです。
                    1問われただけで10かえすよしながさんの聡明さったら、惚れ惚れしてしまう。
                    「きのう何食べた?」は当初、BL誌での連載を考えてたんですね。
                    BLに関心のない私の友人たちもみんなおもしろく読んでくれる稀有な漫画なので、モーニングで連載してよかったのではと思っています。BL誌連載だったら届かなかったひとがたくさんいただろうし。

                    明日美子さんは性表現について語る言葉すら、どこまでも端整でうつくしい。
                    人となりが漫画に現れてるんだな、とつくづく思った。私がゲスいエロが好きなのもまた人柄…。おっしゃっていた「リズムへのこだわり」、わかるような気がしました。
                    明日美子さんの漫画はとても音楽的に感じる。モノローグの置き方とか、絵の見せ方とか、流れるようにするする入ってきますもんね。本を読むというより、音楽を聴いたり、映像を観ているような感覚があります。はやく「薫りの継承」本になってほしい〜!!

                    こだかさんは、インタビューを読むたびにそのプロ意識の高さに心打たれる。特別すごいこと語ってるとかじゃなく、「読者を楽しませることを楽しむ」ことができるのが、こだかさんのプロとしての才覚ですな。
                    鳥人さんの「漫画は絵・演出・話で成り立ってる」という言葉に「そうそうそうそう〜〜〜〜!!!」ってはげしく肯く。皮肉まじりに自分を俯瞰して語る語り口が、漫画そのままでおもしろかった。根っこはアツいけど、表面はクールなんだよね。そこが大好きです。鳥人さん、またオリジナルも描いてくれ…私が二次読めばいいですね、そうですか。
                    はらださんとかヨネダさんとか、絵は描いてたけどちゃんと同人誌出したのは就職してから、というひとが案外多くてびっくりした。プロになるひとって、基本十代からバリバリ描いてるんだと思ってたよ。才能だな〜!

                    座談会の「最近の意欲あるマンガ編集者は、コミケが開催されてない時期はずーっとpixvを見ている」って発言が、真面目なだけにおかしくて吹き出した。
                    後半の字面だけだと、ただの廃人だよ!ほかにも作品のキャプションとかキャラクター紹介の細かいところに、ちょいちょいおかしい表現があって、重箱の隅まで楽しめました。
                    はー、ほんとにBLっていいもんですね。
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